初めて受けたヒプノセラピーでみた前世は昔のヨーロッパで戦場にいる自分だった。
最後は火にのまれ焼け焦げて死んだ。
初めて見た前世の体験は衝撃的で
今まで自分が知らなかった世界が突如大きく開いたかのような感覚だった。
そして自分の精神的な成長の節目、節目で出てくる前世はやはりソルジャーの私だった。
自分との戦いを終わらせるために自己統合をしていく中で
成長を進めてくれたのも、成長を阻んでいるのも戦いを頑張ってきた「前世の私」だった。
戦うことを本気で手放すきっかけになったのはやはり前世の私の体験を夢でみたことがきっかけだ。
夢の中で満身創痍で重い足を引きずりながら故郷へ帰ろうとしているソルジャーの姿が見えた。
長い戦いが終わりやっと故郷へ帰宅している途中だった。
金髪でヨーロッパ圏を感じさせる風貌で
重いボロボロのリュクを背負い高身長の割に痩せこけている。
顔は疲労と空腹、涙と垢や泥でぐしゃぐしゃだ。
「あの時、立ち止まっていれば。
あの時、声をかけていれば。」
リュックの紐をギュッと強く握りしめながら
私は仲間を救えなかったシーンを自分を痛めつけるように何回も何回も思い出していた。
「のうのうと生き延びて俺は一体なんなんだ。」
そんな風に自らを痛めつけるために思い出している仲間を救えなかったはずのシーンに
いつの間にか仲間たちの笑顔が浮かび始めて
死んだ仲間が助けてくれたとしか思えない出来事を走馬灯のように思い出している。
「そうだ、死にそうになるたびに何度も、何度も諦めようとしたのになぜか生き延びた。」
自分の生死が追い詰められた瞬間は手放す方が楽だ。
運命に任せてしまった方が苦しまなくて良い。
戦いの中で死が直前まで差し迫る瞬間何百回とそう思った。
けれど手放そうとするその度に、何か見えない力としか思えない手助けがあり自分は生き延びた。
その体験が色濃く自分の心に留まり続けて、何かを訴えかけてくる。
空腹と暑く照りつける太陽の熱で立ちくらみがして歩くことが出来なくなり
途中の石の上に座り休むことにした。
座ってボーッとしていると涙と垢で汚れた顔に優しく風が吹いてくる。
その風にまるで
「それでいい。」
と生きていることを肯定されているかのような感覚になりさらに声を上げて泣いた。
「生きるんだ。
みんなの繋いでくれた命を使い果たすまで生きるんだ。」
そんな確信をもったまま目が覚めた。
起きたら自然と涙が出ていた。
事実として在った場面か、人生か、定かではないけれど
私の胸の中にはいつまでもあの温かさが残っている。
素晴らしい人生の一片をみた。
そこには底の無い哀しみとそこから奮い立つカタルシスがあったが
私は、私も彼ももう奮い立たなくていいんだと思った。
充分にもう戦い尽くしたんだと感じた。
終わりはただの終わりでいい。
ソルジャーが得た生きることへの確信は、今の私がこれまで頑張ってこれた生きることへの確信にもなっていた。
けれどだからこそ同じ強さで自分を殴る暴力性にもなり、無力感に苛まれることも多かった。
慣れ親しんだ極と極を行き来することは生きる実感だったが、心底もういいやと思える。
ありがとう。
魂の友。
バイバイ、私のソルジャー。